少子高齢化、人口減少により、今、全国に空き家が増えています。

平成30年度の住宅・土地統計調査の概要によると全国の空き家数は約846万戸、全住宅に占める空き家の割合は約13.55％と、5年前の調査と比較して増加しているのが現状です。

増え続ける空き家ですが、これら空き家を遺産として相続するケースも多く「両親が住んでいた実家を相続したが、ずっと手入れをせずに放置している」という例も少なくありません。

空き家が増えるとさまざまなトラブルが発生しますが、とくに困るのが害獣や害虫の発生、倒壊による周辺住宅への被害、不審者の侵入や不法占拠など、住環境を悪化させる事案です。

隣近所の方々に迷惑をかけることもあり、できるだけ早めの対策が必要ですね。

今回は空き家の不用品を処分しなければならない理由や、できるだけ安く処分する方法などをまとめています。

<家財が残ったままだと家がますます傷む>

ずっと空き家になった家は基本的にサッシや雨戸を締め切りますので、室内に湿気がこもることになります。

その湿気により、室内にカビが生えたり、床板や天井板が腐るトラブルが起こり、家屋そのものの価値が下がってしまいます。

床が腐ると重いタンスや仏壇、ベッド、テーブル、ソファーなどの重みに耐えきれなくなり、床板が抜け落ちて湿気がダイレクトに室内に入り込んでしまうことも。

とくに白アリ被害を受けている家の床は脆いので、重い家財を支えきれなくなるリスク大。

家具そのものにもカビが大量発生することもありかなり不衛生ですね。

残った家具は空き家の劣化を加速させてしまうため、早めの処分が必要なのです。

<不用品を残したまま家を売却できない>

もし空き家を売却するのであれば、屋内に残った家財はすべて処分しなければなりません。

とくに年季の入ったタンス、仏壇、テーブル、ソファー、ベッド、ピアノなどは買い手にとって不必要ですし、粗大ごみとして処分するにも費用がかかります。

空き家にタンスやエアコン、テーブルなど家財道具や家電が残っていても査定額が上がることは一切なく、逆に家が売れなくなる原因に。

もし粗大ごみを残したまま空き家を売却するなら、その分マイナスになり希望する金額で売れなくなります。

ベストな状態で家を処分したいなら、まずは不用品を処分することが先決なのです。

<ご近所トラブル回避のため>

空き家をそのまま放置してしまうと、不審者が不法侵入しそこを根城にして犯罪行為をおこなう可能性があります。

空き家に家財が残っていると生活しやすいため、犯罪者に無料で住居を貸してしまう残念な結果になることも。

空き家に価値のある美術品や骨とう品があると泥棒に遭う可能性もありますし、害獣や害虫が発生する、スズメバチなどの巣ができる、屋根瓦などが飛んで周囲の家に迷惑をかけるなどご近所トラブルの元になります。

不用品を処分して空き家を解体する、売却することでご近所トラブルを避けましょう。

<業者に依頼せず自力で片付ける>

不用品が大量にある場合、どうしても業者に頼んで処分してもらいたくなります。

ところが業者に依頼すると人件費や車両のレンタル代など費用がかさんでしまい、予想以上の金額に膨らんだ請求書を見てびっくりすることもあります。

空き家を解体して更地にしようと思えば解体にかかる費用も用意しなければならず、できる限り不用品の処分費用をカットしたいものです。

そのため粗大ごみは空き家のある自治体のごみ回収を利用したり、車が運転できるのであれば直接クリーンセンターに持ち込んで処分してもらうのが一番安上がりです。

食器や小さめの家電（電気ポットや炊飯器など）は自治体の粗大ごみ回収日を利用するのが効率的ですが、回収してもらえる不用品の大きさや種類などが決まっているため事前によく確認しましょう。

<リサイクルショップを使う>

まだ使える冷蔵庫や洗濯機、パソコン、電子レンジ、ソファー、テーブル、ベッドなどはリサイクルショップに売却する方法もあります。

業者により、買取金額に差がありますので、複数の業者に見積もりを取るのがおすすめ。

ネットオークションに出品する方法もありますが、慣れないうちは出品の方法や連絡調整、発送など面倒だと感じるケースも多いようです。

手間はかかりますが、オークションやリサイクルショップで不用品が売れればお金になるため、ためしてみる価値はあります。

<どうしても自力で不用品の処分ができないとき>

不用品をトラックでクリーンセンターまで運転できない、女性一人で不用品を処分しなければならず自力で処分できないなどの理由があれば、不用品回収業者にお願いする選択肢もあります。

専門の女性スタッフで対応してくれる会社、見積もりに応じてくれる業者、空き家のクリーニングや空き家の売却相談まで対応可能な会社もあり、費用に応じてさまざまなサービスを提供しています。

<価値のある絵画や骨とう品はそのままにしない>

空き家になった家のなかに価値のある骨とう品や美術品、貴金属、現金が残っていると盗難の恐れがあり、大変危険です。

空き家だとわかると不法侵入のリスクが格段にアップしてしまうので、価値のあるものは早めにリサイクルショップなどで換金しておくのが無難。

もし空き家を相続した場合、たとえその家に住まなくても一度は家財道具や書類、アルバムなどの確認や整理をして大事な物は安全な場所に移動させておきましょう。

遺品整理をしていたら「貴金属が見つかった、お金の入った預金通帳があった」ということも多々あります。

空き家を相続したらできるだけ早く遺品を整理し、貴重品やお金を盗難されないように配慮すべきです。

貴金属や高額な骨とう品などを盗まれた後で「しまった！」と後悔しても間に合いません。

<相続問題を避けるためにも売却を>

空き家を相続した家の中から貴金属や骨とう品、絵画など価値のあるものを見つけた場合は放置せず、まずはその価値を確認するのが先決です。

数万円程度のものであればとくに大きな問題にはなりませんし、売却してしまうのもひとつの方法です。

ただ数百万円レベルになると金額が大きくなりますし、相続権のある親族に内緒で懐に入れると揉めることもあります。

そこで「空き家からこのような絵画が出てきて100万円の価値があるようだ」と相談し、どうするか話し合うのが無難。

絵画を売却しその金額を相続権のある者で平等に分けるのか、それとも実家を相続した者が受け取るのかなど、納得できるよう親族同士で相談するのが一番です。

<親御さんが健在なうちに話し合っておくのがベスト>

実家を相続することが予想される場合、親御さんが元気なうちに自宅にある財産のことをしっかり聞いておくことがベストです。

「じつはここに有名な書家の書いた掛け軸がある」など骨とう品や貴金属などの情報を聞いておけばリスト化できますし、遺産の内容がわかれば事前に「この掛け軸は次男に、この信楽焼の壺は長女に」など遺産の分割もスムーズです。

空き家は全国的に増加しており、それにともなってトラブルも増えています。

空き家を放置すると害虫や害獣の発生、不法侵入、不法占拠、放火、家屋の倒壊などさまざまなトラブルが起きる可能性があり危険です。

空き家を取り壊すにせよ、売却するにせよ、家屋にある不用品はきれいに処分しなければなりません。

自力で粗大ごみをクリーンセンターに運搬して処分してもらう、自治体の粗大ごみの日に引き取ってもらうのが安上がりですが、それができないときは不用品引き取り業者にお願いするのが無難です。

空き家に価値のある骨とう品や美術品が残されていると盗難のリスクもあるため、できるだけ早い処分や対応を。

親族同士の相続問題に発展しないよう早めの対策が必要です。