アパートを借りるとき、また他人名義の不動産を購入するときに欠かせないのが契約書です。
アパートの賃貸契約には「賃貸借契約書」が、不動産を購入するなら「不動産売買契約」を作成する必要があります。
これら契約書を締結することにより契約内容をその目でしっかり確認でき、「言った、いや、言わない」という水掛け論の予防、また裁判になったときの証拠にもなるため非常に重要です。
契約書の内容は民法や商法に則るのはもちろん、法律であいまいにされている期間や瑕疵の内容をより具体的に表現されていることも大きなメリット。
両者のトラブルを防止するため重要な役割を果たす契約書、その作成がいい加減であっては困りますね。
このページでは不動産契約書の訂正方法や売買契約にありがちなミス、不動産と契約不適合責任についてまとめています。
これから不動産購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
<パソコンで作成される不動産契約書>
個人が不動産契約書を交わす場合、仲介会社(不動産会社)をとおして契約締結するケースが圧倒的に多くなっています。
不動産の知識のない方が自力で不動産契約書を作成しても書面に不備があれば後で揉める恐れもあり、専門家である不動産会社が間に入る方が安全です。
結果的に不動産契約書は不動産会社の担当者が作成することとなり、さらに今はパソコンで契約書を作成するため間違いがあればすぐに画面上で訂正して印刷できるようになりました。
そのため契約書の書面を直接訂正するケースはかなり少なくなったのです。
けれど人が作った契約書ですから間違いが記載されていることもあります。
契約書の内容に間違いを発見した場合、どのような対応をすれいいのでしょうか?
では正しい訂正方法をご紹介しましょう。
<契約書訂正の手順について>
・まず訂正する箇所を両者で確認する
・訂正や削除する文字を二重線で消す
・二重線で消したうえに正しい契約内容を書き加える(削除するだけなら記入の必要なし)
・訂正したページの上部などの欄外に訂正した箇所を明記する(第〇条第〇項、〇文字削除、〇文字記入など)
・ページ欄外に両者が契約で使用した印鑑を使い、両者が訂正印を押す
・訂正が必要なページに、上記の訂正方法を繰り返しおこなう
修正ペンで契約内容を消しそのうえから書き直す、書類の表面を削って文字を消し書き直すなどの行為は無効です。
<不動産契約書に間違いを見つけたら>
もし不動産契約書を作成したあとに間違いを見つけたら、勝手に契約書を書き換えるのはNGです。
必ず仲介した不動産会社に申し出て内容を確認し正式な訂正をお願いしましょう。
不動産会社には契約書作成のプロが常駐していますので、不動産の売手と買手に連絡をとり正式な方法で訂正します。
場合によっては別に覚書又は合意書を作成することもありますので、担当者に一任するのが一番です。
<売買金額が違う>
実際に不動産売買契約書で起こるミスでありがちなのが、売買代金の間違いです。
「1,000万円で購入するはずの土地が1,500万円になっていた!」というような事例もありますし、なかには桁がひとつ違う売買金額で契約書が作成されてしまうケースもあります。
契約書は人間が作るものなので「どこかにミスがあるかもしれない」と念には念を入れてチェックするべきです。
もし記名・捺印する前に気がつけば契約書そのものを作り変えることもできるため、早めに申し出て確認してもらいましょう。
<残代金が違う>
これもありがちな間違いなのですが、手付け金を支払ったあとの残高がまるで違う金額になっているケースもあります。
例えば新築一戸建て物件を5,000万円で購入すると仮定します。
手付け金を500万円支払えば残りは4,500万円ですが、その金額が450万円と誤記入されていることも。
双方この間違いに気づかないまま契約してしまった…となると、後日必ず訂正することになります。
売買金額や手付け金の金額、残代金など金額に関する間違いがないようにきちんと確認しておきたいですね。
<取引される物件のデータが違う・所有権移転の時期など>
契約書は人の手で作成されるため、売買する土地や家の面積が違っていたというミスも起こりえます。
登記簿と契約書で土地や家屋の面積に違いがあれば「どちらが正しいのか?」と揉めることになりますので、契約時に登記簿の内容と契約書の内容をしっかり確認する必要があります。
また所有権移転の時期もチェックしておかないとトラブルのもとになることも。
契約書の契約日や所有権移転の日時など、日時もしっかり確認しましょう。
また不動産売買は契約が終了すれば「それで終わり」ではありません。
売り手の所有権が買い手に移行するには購入金額が全額支払われる必要があり、その日付に間違いがあるとスムーズな引き渡しができなくなります。
不動産会社が作成した不動産契約書は信頼性が高いものですが、やはり人の手で作成している以上ミスがないとは言い切れません。
契約者側でもしっかり目を通し、わからないところや間違った部分はすぐに確認するのがベストです。
<瑕疵担保責任とは?>
現在適用されている民法、じつは明治時代から存在し長らく私たちの生活のルールとなってきました。
ところが時代の変化とともに法律の内容が現実にそぐわなくなり、必要に応じて法改正がなされてきました。
そして不動産分野も時代の流れに逆らうことはできず法改正の波がやってきたのです。
不動産売買契約を結ぶ場合、売り手には瑕疵担保責任が課せられており「売却したい物件に隠された瑕疵があった場合は売り手が責任をもって保証する」という法的ルールが決められていました。
この瑕疵ですが、白アリによる被害や雨漏り、基礎部分の不具合、見えない部分の壁が割れていたなどがあげられます。
隠された瑕疵ですから、白アリの有無や基礎部分の不具合などは専門業者が確認しないとわかりません。
ですから中古住宅を購入した方は早めに白アリや基礎部分を確認し、不具合があれば売り主に連絡して補修してもらう必要があったのです。
<契約不適合責任でなにが変わる?>
2020年4月から始まる契約不適合責任(新民法)では、契約時に「この物件は白アリ被害に遭っています。雨漏りがします。基礎部分が破損しています」など売却する物件に瑕疵があることを明記しなければなりません。
もしこれら不具合(瑕疵)を隠したまま売買契約を結ぶと、売り主が契約上の「債務不履行」となりその責任が問われることになります
<もし不具合が判明したらどうなるの?>
売り手が雨漏りすることを知ったうえで(知らなくても可)一戸建て住宅を売却した場合、その事実が判明するとどのような対応が可能なのでしょうか?
1・追完請求…雨漏りを補修してもらう
2・代金減額請求…雨漏りの補修をしない場合は代金の減額を請求できる
3・催告解除…「雨漏りのする家はいらない」と契約解除が可能
4・無催告解除…契約不適合により「契約の目的を達しないとき」に催告なしに契約解除可能
5・損害賠償請求…契約締結のための登記費用などを請求することができる
新民法では買い手を保護する側面が強くなっており、安心して不動産の購入ができるようになりました。
不動産購入は一生に何度もおこなうことがなく、ほとんどの方はなにもわからない状態で売買契約を結ぶことになります。
そのため小さな文字が並ぶ契約書をみて目先がクラクラしてしまうかもしれませんが、書類上のミスが考えられる売却金額や残代金、日付、物件の面積などのデータなどはとくに入念にチェックしておくと安心です。
もしわからないことがあれば、不動産会社の担当者にお気軽にお問合せください。
お客様が納得できるようわかりやすくご説明させていただきます。