東京都内で賃貸物件を所有しているオーナー向けに、空室対策としてのリノベーションをご紹介していきます。
空室は収入減になりますのでできれば避けたいところです。
ぜひメリットを含めて検討し対策してみてはいかがでしょうか。
まずは東京の空き家率を見ていきましょう。
2019年に総務省から発表された調査によると、2018年の東京の賃貸物件の空き家数は約58万戸でした。
2000年以降空き家が増えていましたが、今回の調査では2013年の時よりも2万室近く空き家が減っています。
この中にはかなり築年数の経ったものや、リフォーム予定、解体予定等、入居者募集停止物件もあります。
そのため、築年数が30年未満の賃貸住宅の空き家率は、5%前後だと予測されます。
似たような意味を持つ、3種類の違いについて見ていきましょう。
まずリノベーションとは、工事を建物におこない、住まいの性能をより良くしたり、その価値を上げることです。
リフォームは以前の状態に戻すことですが、それよりもプラスアルファで、新しい機能を付けたり、建物の価値をさらに向上させる意味を持っています。
そのため、既にあるものよりさらにデザイン性を上げたり、時代に合った間取りに変えたりします。
賃貸物件の耐久性などを高めるために壁の補修を行ったり、今まであった壁をなくして、広々としたリビングにしたりすることも指しています。
これは空室対策として賃料の値下げや募集条件の緩和をするよりも、効果が高いと言われています。
次にリフォームとは、老朽化した建物を新築の状態に戻すことです。
賃貸物件の場合、入居者が退居した後、その入居者の住む前の状態に戻すのもリフォームです。
原状回復とも同様の意味を持ちます。
例えば外装の塗り直しや、キッチンの設備の変更、壁紙の張り替えなどがリフォームになります。
コンバージョンは用途を変更することで、価値を再生する場合に使われます。
例えば、今まで倉庫で使っていたフロアを賃貸住宅に変更し、収益性を図るなどです。
似たような言葉ですが、実はそれぞれに違った機能を持っていることがわかりますね。
賃貸物件の空室対策として、入居率をアップさせるには、物件の魅力を高めることが大切です。
賃貸物件に新たな価値が付くことで空室が減り、収益力もアップします。
実施の際の流れに沿って重要なポイントを確認していきましょう。
まずはヒアリングや物件調査を行います。
入居者のニーズ調査の流れは大切で、機能・性能のバランスが良く、収納・動線などに工夫ができます。
次にプランニング・概算見積もりを行います。
構造調査・耐震診断をしたあと、素材・設備選びが進む流れです。
デザイン性も重要ですね。
収支バランスを踏まえ見積もりをし、納得がいけば契約、着工へと流れます。
契約や工事にかかる時間、タイミングも非常に重要なポイントです。
住宅を改修している期間は他のどこかの住宅で暮らす必要があって、工期の長さによって改修中にかかる生活費などが変わるためです。
そのため、ある程度余裕を持った流れを考え、進める準備を始めるのがおすすめです。
失敗例として、なかなか借りてもらえないという失敗があります。
流れで、空室に借り手がすぐ見つかるわけではありません。
独自の感性だけで実施することなく、ニーズを把握して、借り手が魅力を感じる設備や内容を取り入れるようにしましょう。
また工事中の空室期間にも対策しましょう。
工事中には、内覧が行えなかったり、室内写真が用意できなかったりするため、新しい入居者の獲得が難しくなります。
規模にもよりますが、1室あたり1週間程度の工事期間が必要になります。
全室行う場合、10室のアパートであれば約2カ月かかる場合もあります。
着手する前に、リフォーム会社などと工事期間を必ず打ち合わせておく対策をしましょう。
壁式構造かどうかチェックも必要です。
壁式構造でも工事できますが、建物を支える重要な壁は撤去することができないことがあります。
また、建物の強度を守るため管理規約などで壁の撤去そのものが禁じられているケースもあるためです。
また予算設定を間違えるという失敗もあります。
こちらも感覚的に流れで決めないようにし、ファイナンシャルプランナーなど専門家に相談しながら決定できると失敗が減らせます。
工事にかかる費用は、物件の状況、内容によって異なりますが、フルリノベーションで40~49㎡の場合、850万円~です。
表層替えのでは、40~49㎡の場合、300万円~になっています。
メリットなどをご紹介していきます。
①老朽化による空室を解決
同じ地域内の物件であっても、老朽化が進んでいる物件は選ばれにくい傾向にあります。
それが解決され、さらに最新の機能を持つことで収益性が挙げられる可能性が上がります。
空室のお部屋に入居が決まれば、家賃収入が上がりますね。
②家賃のアップ
工事の内容にもよりますが、類似物件に比べて10%ほどの家賃のベースアップも可能です。
③所得税の軽減
かかった費用は経費で計上できます。
これにより利益が削減され、所得税の削減が可能です。
④入居者属性の向上
家賃を下げることなく入居者が増えるのに伴い、入居者を選ぶことができます。
入居者属性が向上することで近隣トラブル対策やクレームの減少も見込めるかもしれません。
⑤ネットでも目が付きやすくなる
写真を豊富に掲載することで、最新の物件に見えます。
賃貸物件を探している人の目に留まりやすく、内覧してみたいと感じる人も増えるでしょう。
「リノベーション済み」と記載があるだけでも、同様の築年数の物件と差別化を図る対策も可能です。
賃貸物件の空室対策でメリットが多いですが、借り手側にもメリットがありますので見ていきましょう。
①新築のようにきれいなので魅力的
賃貸物件を探す際には、内覧に行くことがほとんどです。
その際に内装のきれいさを感じられるのは大きいでしょう。
特に水回りや床、壁などが新しいものであると、清潔感もあり魅力的に感じられます。
②家賃がリーズナブルに感じる
室内が新築のようにきれいですが、築年数との関係で、同じエリアの新築や築浅物件よりも安くなることが多いです。
それによってお得感を感じられます。
家賃が高いエリアでも、リノベ物件だったら安くてきれいなので住みたい!と感じる人も増えるかもしれません。
③広くてデザイン性も高い!
広さのある物件でも、リノベ賃貸であれば手ごろに借りられるのもメリットです。
またデザイン性を高めている物件も多いので、友人を招きたい人にとっても魅力になるでしょう。
④契約後にすぐ入居できる
新築の賃貸物件の場合、完成まで待たないといけない場合もあります。
しかしリノベーション済みの物件であれば、新築同様の内装で住みたい日から入居ができるので魅力的です。
様々な人から魅力を感じられる物件なので、空室対策にはよさそうですね。
賃貸物件の空室対策についてまとめました。
ぜひ空室にお悩みの方は一度検討し対策してみてはいかがでしょうか。
また慎重に準備を重ね、失敗の無いようにしていきましょう。