マンションは建物を購入したからといって、それで出費が終わるではありません。
マンションには共用部分があるためエントランスやエレベーター、ゴミ捨て場などの管理のために毎月管理費がかかりますし、大規模修繕のために修繕費を積み立てておく必要があります。
これら管理費・修繕費を念頭に置いてローン計画を組まないと「毎月のローン返済で管理費や修繕積立金どころじゃない」と生活が苦しくなることも。
このページではマンション購入後もずっとついてまわる管理費についてまとめています。
これからマンション購入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
マンションは2つのエリアから成り立っています。
・住戸内(専有部分)…マンションの住居部分
・共用部分…エレベーターやエントランス、廊下、ゴミ捨て場、バルコニーなど
専有部分はオーナーが所有するため、部屋の壁紙を変えたり設備を入れかえるなどのリフォームは自由にできます。
ところが共有部分は住民全体で共有しているため、ひとりの住民が勝手にリフォームすることはできません。
この共用部分を維持するための費用が「維持費」と呼ばれ、マンションの規模にもよりますが毎月1~2万円程度の費用が必要です。
マンションは共用部分がきれいに使われているほど価値が上がるため、管理会社だけではなく住民が意識して共用部分を汚さないよう、ほかの住民に迷惑をかけないよう意識する必要がありますね。
共用部分や外壁、屋上などマンションは時間が経過するほど傷んできます。
そのため将来大規模な修繕が必要になるのを見越して「修繕積立費」も毎月支払わなければなりません。
築浅や新築マンションはそれほど高額ではありませんが、築10年、20年と経過すれば修繕個所が増え、修繕積立費が上昇する傾向に。
実際に修繕すると積立金では足りず、一時金を請求されることもあるので注意が必要です。
マンションには「所有権マンション」と「借地権付きマンション」があります。
一般的なのは所有権マンションでマンションを購入したと同時に土地の権利も得られ、その結果、土地の固定資産税や都市計画税などの税金負担が増えます。
借地権付きマンションは土地の権利がなく、一定期間が経過するとマンションを取り壊して土地を返還しなければなりません。
長く住めないデメリットがある反面、土地の固定資産税や都市計画税は課税されませんし、価格も相場より低くなります。
お得に感じられる借地権付きマンションですが、毎月「解体積立金」や「地代」の支払いが必要なうえに物件そのものが少ないのが現状です。
住んでいる賃貸マンションを貸しだすなら、その部屋は自分の所有物ではなく商品になります。
商品なのですからキレイに掃除して設備が劣化していればリフォームしなければなりません。
「そんなことしなくても借り手はいる」と思うかもしれませんが、空室リスクを避けるため、より高い家賃で貸しだすためにプロによるハウスクリーニングやリフォームは欠かせません。
そのための費用をあらかじめ計算に入れておきましょう。
購入したマンションを賃貸に出す方のほとんどが、管理会社に賃貸業務を一括して委託しています。
お部屋を賃貸に出すと賃貸契約書の締結や賃貸中のトラブル・苦情への対応など、煩雑で専門的な事務作業や管理業務が発生。
仕事をしている方などは管理するために十分な時間がありませんので、これら賃貸業務を管理会社に委託するのが一般的です。
ただ管理会社側に管理委託料(管理委託手数料)を支払う必要があるため、この手数料も考えておかなければなりません。
銀行でローンを組んで分譲マンションを購入している方は、まず部屋を貸しだす前に銀行に連絡しましょう。
銀行で住宅ローンの契約をおこなった際に、契約書に「契約者本人が居住していること」という要件があると賃貸物件として貸しだすことが難しくなります。
もし「転勤するので3年間賃貸に出したい」など賃貸に出す理由や年数などが決まっていれば許可がでる可能性もありますので、まずは銀行と協議しましょう。
許可なく勝手に自宅を賃貸物件に回してしまうと、銀行からローン一括返済を求められることもあり大変危険です。
自宅を賃貸物件として貸しだすと、家賃という不労所得が生まれます。
所得には税金がかかりますので、課税額算定のために毎年確定申告をおこなう点にも注意です。
税理士に申告書類を作成してもらうと経費がかかりますので、費用をカットしたいなら自分で申告書を作成するのが一番。
白色申告より青色申告の方が控除額が増え節税効果がグンとアップしますが、確定申告で持ちこむ書類が増え、書類作成の手間がかかります。
マンションの寿命に厳密なルールはありませんが減価償却の基準となる耐用年数には決まりがあり、RC造(鉄筋コンクリート)の住宅は47年、鉄骨造の建物は34年となっています。
マンションの耐用年数は47年ということになりますが、築60年以上経過しても建て替えがされていない物件もありますし築40年で建て替えされるケースもあり、あくまで参考値にしかなりません。
ただ築後40~50年以上経過すると建物はもちろん、配管や設備の劣化、段差による住みにくさなど多くの問題が噴出し、結局、最終的に取り壊さなければならないのです。
建て替えにかかる費用は一戸で約1,000~2,000万円と試算されており、費用が高額であることから建て替えに賛成できない方も多くいます。
また実際に建て替えされているマンションは全体の約0.23%と圧倒的に少なく、経済的なハードルがあるのは間違いありません。
マンションの建て替え費用は住民負担が基本です。
そのため建て替えには住民の統一された意思が必要になります。
ただ費用が高額になることから全員の意見がまとまることは少なく、住民同士の意見が対立することも。
民法では住民の4/5以上の賛成があれば建て替えや取り壊しができると定められており、全員が建て替えや取り壊しを希望しなくても強行できる可能性はあります。
取り壊しとなれば建物を壊し、土地を売却して売却益を住民で分割。
建て替えであればその費用を住民全員で負担します。
ただ「借地権付きマンション」は住民が土地の権利を持っていませんので、決められた期間が過ぎれば建物は解体され、土地は地主に返還される仕組みです。
購入時にマンションの土地を誰が所有するのか、しっかり確認しておくと安心ですね。
マンションは購入時の価格だけではなく、購入後も管理費や維持費などで毎月費用がかかります。
これら管理費をしっかり頭に入れたうえで、毎月ローンが支払えるのか事前に資金計画を立てるのが大切。
賃貸に出すときは不動産収入が発生するため、確定申告や建物の維持・管理など煩雑な作業が発生します。
住み続けるにしても賃貸に出すにしても、しっかりした計画が必要ですね。